引っ越し業者に見積もりを出してみると、「引っ越し先も近いので、2t車でのピストン作業でいかがですか?」などと提案されることがあります。
「ピストン作業」とは、全ての荷物がトラック1台にに積み込めない時、引っ越し前後の家を往復して荷物を運び切るような作業の仕方のことです。「ピストン輸送」などと呼ばれることもあります。
当然のことながら2tや3tのトラックなどで1回で積み切れるような荷物量でしたらこのような引っ越しの仕方はしませんので、それなりに荷物が多い場合の選択肢になります。 2tや3tのトラック1台では運び切れない場合に、取れる選択肢は3パターンほどあります。
- 4t以上の大きなトラックで一度に運ぶ
- 2tトラック2台のトラックで一度に運ぶ
- 1台の2tトラックを往復させて運ぶ
・・・なんか普通に考えたら、1回で全部運び切った方が効率的なような気がしてきますね笑
とは言え、それでも業者から提案されるには、それなりの理由があるのです!!
では実際のところ、ピストンを利用するのと1回で運び切るのと、どちらが良いのでしょうか? 解説していきましょう!
目次
1. ピストンは費用面でお得! しかし1日がかりの作業になることも
実は、ピストン作業には利用者にとっても業者側にとっても、お互いにメリットとデメリットの両方があります。 詳しく解説する前に利用者視点での要点だけまとめますと「費用面は安くなるが作業に時間と手間がかかる」ということができるでしょう!
引っ越し元と引っ越し先を往復しながら作業することを少し想像してみるとなんとなくは分かると思いますが、大変そうだし時間がかかりそうですよね。 実際、その通りです笑
私自身、引越し業者の作業員としてピストン作業は何度も経験がありますが、やはりそれなりに大変です。途中でお昼休憩も挟んでの1日がかりの作業になることは覚悟しておいた方が良いでしょう。
時間と手間こそかかりますが、その分安く上がる。 それがピストン引っ越しの特徴です!!
- 費用は安くなってお得だが、時間や手間はかかってしまう
2. ピストン作業はどうして安くなるのか?
さて、ピストン作業は安くてお得と言いましたが、どうして安くなるのでしょうか? それにはもちろん理由があります。 業者側としても、ピストンにはメリットがあるのです!!
最初に述べたように、2tや3tのトラックで積み切れない場合の選択肢は、ピストンしないのであれば4t以上のトラックを使うか2台体制にするかのどちらかです。
2台体制にした場合
2台体制にすると、業者としては1件の引っ越しにトラック2台使ってしまうため、他の予約を一件取り逃すことになります。 2台体制にした分料金を高く設定したとしても、別の引っ越しを2件行うほどには利益は出せません。しかもその上、基本的に1台のトラックには2人〜3人の人員を乗せるので、4人〜6人のスタッフを動員することになり人件費もかかってしまいます。
以上のように、2台体制で一気に終わらせるよりは、時間がかかってでも人員3人・トラック1台でピストンしながらやってもらった方が業者としては利益が出るのです。
大きいトラックを利用する場合
では、4t以上のトラックを利用する場合はどうでしょうか? これはその支店によって事情が変わってきます。 実は、引っ越し業者の多くの支店では、普段は3t車くらいまでしか置いていないことが多いのです!! 大きめの支店などでは4t車までは置いていることもありますが、それ以上のトラックを常に置いているところは数少ないです。
もし自店にない大きさのトラックを使うとなると、提携している下請け業者に依頼する(=業界では「傭車(ようしゃ)」を頼むと言います)ことになります。 傭車の大型トラックに加えて自社からも作業員をトラックなりバンなどで向かわせることになるので、やはり人員がドライバーも含めると多くなってしまいますし、下請けの業者を頼んだ分コストはかなり上がってしまいます。
また、大型トラックは狭い路地に入れなかったりと不便な点も多いため、できることなら使いたい選択肢ではありません。
このように、2台体制にしても大きいトラックを手配するにしても業者側にとって利益が出にくくなってしまう事情があるのです。だからピストン作業を提案するワケでして、「ピストンでよければ値下げできますよ!」と値下げに応じてくれるのです。
3. ピストン作業が利用できる場合
ピストンの方が安くなるとは言っても、どんな場合でもピストンが利用できるとは限りません。 ピストン作業を行うのは、それに適した条件に合っている場合に限ります。 ピストン作業が有効なのは、以下のような条件の時です!
- 距離が近いこと (5km程度が目安)
- 時間が十分に取れること
- 引っ越し前と引っ越し先の両方で立ち会いが可能なこと
まず、往復しながらの作業になるので、近いことが絶対条件です!! 遠距離の引っ越しでピストンなんてしようものなら1日かけても終わらなくなってしまいます。 さすがにそんな現実的でないことはできませんので、ピストン作業は基本的に5km圏内くらいの近距離引っ越しの場合の選択肢です。
また、お客さんが十分に時間を取れることも必要です。 ピストン作業は1回で積み切って運ぶのに比べてはるかに時間がかかりますので、引っ越しのために丸一日予定を空けられるようでないと難しいです。
そして3点目に、両方の家で立ち会いができることが必要です。 引っ越し前、引っ越し後に夫婦で分かれてそれぞれ立ち会うような形でも大丈夫ですし、お客さんも業者と合わせて移動するような形でも大丈夫です。 ただ、お客さん不在で業者が作業を進めることはできませんので、両方で立ち会えないとピストン作業は行えないので注意しましょう。
4. ピストンを提案された際の値下げ交渉のコツ
以上のように、時間がかかり立ち会いの手間も増えるピストン作業ですので、そりゃあ誰だってわざわざやりたくはないですよね?
でもだからこそ、業者からピストンの提案された時は、値下げ交渉のチャンスでもあるのです!!
ここでうまく値下げ交渉する術を2つほどお教えしましょう!
① 「本当は1回で運び切って欲しい」というスタンスを見せる
以上で見てきたように、ピストン作業は業者側のメリットが大きい作業です。ですので、こちらとしては「いやいや、1回でサクッと運び切って早く終わらせてよ!」ってスタンスを見せた方が値引きしてもらいやすいです。
そりゃあ業者さんも少しでも利益を上げたいのですから、はなから「ピストンでいいですよー!」って人にはギリギリの値下げはしないのは想像できますよね? だから嘘でもいいので、はじめはピストンを嫌がる素振りを見せておけば、業者さんも頑張って値引きしてくれます。
ピストンにすればそうでない場合に比べて1万円程度は値引きしてもらえるはずなので、数千円では「うん」と言わないようにしましょう!
② 積み切れない量がそんなに多くないのなら「積み切りプラン」にしてしまう
1回で積み切れない量が多い場合には使えませんが、少し積み残してしまう程度ならいっそのこと「積み切りプラン」という選択肢もあります。 積み切りプランとは、簡単に言えば積み切れる分だけ積んでもらって、残りは自分で運ぶなり処分するなりするという契約です。 自分で運ぶ手段がないと使えなかったりはしますが、うまく使えればピストンよりもさらに費用を抑えることが可能ですので、検討してみるのも一つの選択肢です。
引っ越しの「積み切り」を解説!口コミはどう? 2tトラックって実際どのくらい積める? | ゼロから分かる引越しガイド
5. まとめ
以上、引っ越しのピストン作業について解説いたしました。最後に、今回の内容をまとめておきましょう!
- 「ピストン作業」とは、全ての荷物がトラック1台にに積み込めない時、引っ越し前後の家を往復して荷物を運び切るような作業の仕方
- ピストン作業にすると費用を安く抑えられるが、引っ越し当日の手間と時間がかかってしまう
- 距離が近く、時間が十分に取れて、お客さんが両方の住所で立ち会い可能なことが条件
- 1回目で積み残ってしまう量が少ないのなら、「積み切りプラン」にすることでもっと安くできることも
以上で見てきた通り、ピストン作業は近距離引っ越しをよりお得にするための選択肢でした。しかしながらピストンにすることができない場外もありますし、同じピストン作業をするにしてももっと安い見積もりを出してくれる業者があるかもしれません。 メリットである安さを十分に生かす意味でも、複数の業者への「相見積もり」を頼んで比較するのがオススメです! 詳しくは下の「合わせて読みたい」で解説しておりますので、ぜひ合わせてごらんください!
【あわせて読みたい】より良い引っ越しをするために…

「引っ越し」はライフスタイルの変化のときです。
どこへ行き、どこで時間を過ごすのか?
誰と過ごす時間が増え、家にいる時間をどう過ごすのか?
環境とともに、自然とライフスタイルが変わります。
そんな人生の中で大きな意味を持つ「引っ越し」というイベント。
少しでも「良い引っ越しだった」と思えるようにしたいものですよね。
でも、引っ越しは思っているより大変です。
新居選び、退去手続き、役所やライフラインの手続き、荷造り、引っ越し業者選び・・・
やることはたくさんあります。また、費用面も安くありません。
その中でも引っ越し費用はただ高いだけでなく、「相場がわかりにくい」ため注意が必要です。
時には相場が分かりにくいのをいいことに、適正料金よりも高い見積り金額を提示する業者もいます。
こちらが無知でいると「業者の言い値」でいいようにやられてしまうのです。
しかし、引っ越し費用は簡単な方法で大幅に安くすることができます。
「あること」をするかしないかで費用が半額になることもあるのです。
そこでまずは、そんな引っ越し費用や業者選びのことに詳しくなりましょう。
これから引っ越しをするあなたへ、まず読んで欲しいことをまとめましたので、まずはここからお読みいただけたらと思います。
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