仲介手数料の相場は? 手数料ゼロ物件が成り立つ理由は? 仲介手数料と不動産業者の儲けの仕組みを詳しく解説

引っ越しの物件探しをするとき、「初期費用」って結構気がかりではないですしょうか? わたし自身も若いときはなかなか貯金ができなくって、少しでも初期費用が安い物件はないか検索しまくった覚えがあります。

一般的に、賃貸契約の初期費用は家賃の5〜7ヶ月分くらいが平均と言われています。 頑張って探すと3〜4ヶ月分くらいの物件も見つかりますが、それにしたって10万円以上は軽くかかってしまいます。 やはり少しでも初期費用がかからない物件を探したいものです。

初期費用の項目を詳しく見てみると「仲介手数料」という項目がありますね。 中には「仲介手数料ゼロ!」なんて謳い文句の物件を目にすることがありますが、 無料にしてくれるのは嬉しくても何か裏がありそうな気もしてきますよね…

果たしてこういう物件は契約して大丈夫なのでしょうか?

ということで、今回は賃貸契約の仲介手数料について解説しましょう!

1. 仲介手数料は仲介業者の「儲け」の部分で相場は家賃1.1ヶ月分

まずは「仲介手数料ってそもそもなんぞや?」ってことからお答えしておきましょう。 簡単に言って、仲介手数料は不動産屋の「儲け」にあたる料金です。 相場は家賃1.1ヶ月分です。 1ヶ月分に消費税10%をつけて1.1ヶ月分ですね。

そもそもの話ですが、駅前なんかで見かける不動産屋さんはたくさんの物件を紹介してくれますが、そのほとんどは自身で所有しているわけじゃありません。 不動産屋は「物件のオーナー」つまりは「大家さん」と「実際に借りたい人」をつなぐ役割をしてくれています。 この場合、不動産屋が行っているのは「不動産仲介業」と呼ばれ、仲介手数料をもらうことで利益をあげています

利用者が毎月払う家賃だったり、契約時に払う礼金などの初期費用は不動産屋が貰っているわけではなく、物件のオーナーである大家さんがもらっています。 ですので、仲介手数料は物件を紹介する不動産屋が利用者から受け取る唯一の収入源なのです!

1章まとめ
  1. 仲介手数料は不動産屋の「儲け」にあたる費用で、不動産屋がお客さんから受け取れる唯一の収入源である
  2. 仲介手数料の相場は家賃1.1ヶ月分 (1ヶ月分+消費税分)

2. 仲介手数料の相場が家賃1.1ヶ月分である理由

さきほど仲介手数料の相場は家賃1.1ヶ月分だと言いましたが、実を言うと法律上は「原則家賃0.5ヶ月分」と決められています。

「えっ!! じゃあもしかして騙されてるの!?」と思うかもしれませんが、でも確かに現実では多くの物件が「仲介手数料1.1ヶ月分」となっています。 実はこれにはカラクリがあります。

① 法律上は「原則家賃0.5ヶ月分」で「上限が1ヶ月分」

仲介手数料については、『宅地建物取引業法』(いわゆる「宅建業法」) という法律で以下のように定めらています。

第四十六条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない
3 国土交通大臣は、第一項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。
(業務に関する禁止事項)

つまり、国土交通大臣が決めた額までしか受け取っちゃダメってことですね。 では、国土交通大臣はいくらって決めてるんでしょうか? それが以下の通りです。

第四 貸借の媒介に関する報酬の額
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額 (※1) の合計額は、当該宅地又は建物の借賃 (※2) の一月分の一・〇八倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たつて当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の〇・五四倍に相当する金額以内とする

国土交通省告示第千百五十五号「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」より

(※1) 当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。
(※2) 当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。

ちなみにこの部分は消費税8%時代のものなので1.08倍 (0.54倍) と書いてありますが、条文の後ろの方に「消費税が変わったら変わるよ」ってことが書いてあるので2020年現在では1.1倍 (0.55倍) が採用されます。

それも踏まえてどういう内容なのかまとめると、要点は以下の3点です。

宅建業法による仲介手数料の決まり
  1. 仲介手数料は「大家さん」と「お客さん」から合わせて家賃1.1ヶ月分が上限
  2. 原則として「大家さん」か「お客さん」の片方からもらえる手数料は家賃0.55ヶ月分が上限
  3. ただし、該当者の承諾があるなら片方から1.1ヶ月分まで貰ってもOK (合計金額さえ1.1ヶ月以内に収まっていれば)

この通り、原則はお客さんから貰える手数料の上限は家賃0.55ヶ月分になっているのですが、合意があれば0.11ヶ月分まで貰えることになっています。 そこで不動産屋は契約書にその旨を盛り込むことでお客さんから満額の1.1ヶ月分の仲介手数料を得てるわけですね。

ここまでの話を聞いて、「あれ、じゃあなんで不動産屋は大家さんからは仲介手数料もらわないでお客さんだけに負担させてるの?」って疑問が浮かんだアナタは鋭いですね。

実はそれが「仲介手数料ゼロ」を実現できる理由にもつながってくる部分なんです。 次はその点を解説しましょう。

② 取引にかかわるのは実は「お客さん」「仲介不動産」「大家さん」の三者だけではない

先ほどの疑問の答えは単純で、実は不動産屋は大家さんから仲介手数料をもらうことができないケースが多いのです。 なんでかと言いますと、実は不動産の賃貸契約に関わるのは「お客さん」「仲介不動産」「大家さん」の三者だけではないからなんです!

たいていの物件では「大家さん」と「仲介不動産」の間に「管理会社」などの「元付業者」と呼ばれる業者ががはさまってくるのです! そうなるとお金の流れはどうなるかと言いますと、以下の図がわかりやすいです。

「元付業者」と言うと分かりにくいので、以下では極力「管理会社」と呼びます

200315 Intermediation 01↑ 「LIFULL HOME’S」さんサイトの「賃貸契約で知りたい「大家」「管理会社」「仲介会社」役割と関係は?」記事より引用

この通り、仲介する不動産屋は大家さんと直接やりとりすることはなくなりますので、仲介手数料をもらえないのです。 そこで出来るだけ利益を確保するため、お客さんから仲介手数料を満額もらえるような契約書にしている訳なんですね!

上の図のように実際は管理会社から「広告料」という名目でお金を貰っている場合もありますが、「仲介手数料」ではないので法律上セーフです。また、広告料は貰えない場合もあります。(大家さんの意向次第)

でも、本来は法律で「原則家賃0.5ヶ月分」って決められてるのに当たり前に1ヶ月分もらっていて問題ないのでしょうか?

③ 実際に裁判で「家賃半月分が妥当」との判決が下った判例がある

これは非常にグレーな問題で、たしかに法律でも「合意があれば」1ヶ月分の請求をお客さんにしてもいいことになっています。 したがって問題は「ちゃんと合意があったか?」「その合意のタイミングは適切だったか?」ということになります。

これに関連して、不動産仲介業者が訴えられて裁判で負けた判例があります。 訴えられたのは有名な『東急リバブル』さんで、裁判では法律に則って「仲介手数料は家賃半月分が妥当で上限が1ヶ月分」という判決が出ております。 決め手となったのは「仲介手数料が1ヶ月分」ということを告知したタイミングだそうです。 (参考 : 全国賃貸住宅新聞)

このことから言えるのは「入居の意思決定より前に仲介手数料の説明が必要」ということです。 逆に利用者の立場から見れば、それがなければ合法な契約じゃないと言える可能性があるわけです。

ただし、これを武器に値下げができるかはまた別の話です。 値下げ交渉に関しては後ほど解説しましょう。

2章のまとめ
  1. 法律上は仲介手数料は「原則家賃0.55ヶ月分」「合意があれば上限1.1ヶ月分」と決められている
  2. 現実では、たいていの仲介不動産業者で「家賃1.1ヶ月分」が相場となっている

3. 仲介手数料ゼロの物件があるのはなぜ?心配ないの?

そんな中、物件探しをしていると「仲介手数料無料」なんて文字を見かけることがありませんか?

ここまでの話から考えて、そんなことしたら不動産業者の利益がなくなってしまいますよね。 それではなんでそんな物件が存在しているのでしょうか? また、そのような物件と契約しても大丈夫なのでしょうか?

① 仲介手数料ゼロ物件が成り立つ理由

仲介手数料ゼロ物件が成り立つにはいくつかの理由があります。

◎ パターン1 : そもそも仲介物件ではなくその不動産会社所有の物件の場合

これは一番わかりやすいパターンで、不動産会社自身が大家さんである場合です。 この場合は仲介手数料をもらわなくたって契約してもらえれば今後の家賃収入を得ることができますので、空室をいち早く埋めるために積極的に仲介手数料ゼロにする場合があります。

◎ パターン2 : 大家さんと仲介業者が直接つながっている場合

こちらは少し違ったパターンです。 前述した説明の通り、賃貸物件の契約には「大家さん」「仲介不動産」「お客さん」「管理会社」の4者が絡んでいましたが、仲介不動産が大家さんと直接つながっている場合があります。 つまり、管理会社をなしにして「大家さん」「仲介不動産」「お客さん」の3者のみが契約に関わる形にするのです!

管理会社を間にはさまないことで、本来なら大家さんが管理会社に支払っていた「広告料」を仲介不動産が直接もらえます。 こうすることで仲介不動産は利益を確保できるので、お客さんに対して仲介手数料を無料にしてアピールすることができます

この仕組みについてもっと詳しく知りたい方はこちらのサイトで詳しく解説されていますので参考にしてみてください!
(参考 → 「あしたのオフィス JOURNAL」【完全版】仲介手数料無料のからくり教えます!)

② 仲介手数料ゼロ物件の注意点やデメリットは?

以上のような場合に仲介手数料が無料にできるということが分かりました。 仕組みが分かると無料にできるのも納得かと思います。 本来ならお客さんからの仲介手数料で利益を出しているところ、それを無料にできるのは別の収入源をきちんと確保できているからということですね!

それなら、仲介手数料ゼロ物件に注意点やデメリットはないのでしょうか?
実のところ、物件によっては本当にお得になっていないこともあるので注意が必要です。

◎ 仲介手数料がない分他の項目を上乗せしている場合がある

業者によってですが、「仲介手数料ゼロ」をお客さん集めのエサに使い、他の費用を上乗せすることによって利益をあげようという感心できない営業を行っている不動産業者も中にはあります。

たとえば本来は不要なはずの「鍵交換」「消毒費用」「ハウスクリーニング費用」などを追加している場合です。 鍵交換は国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によって管理側が費用を負担するべきと定められています。

消毒やハウスクリーニングなどの「新たな借り主に物件を引き渡すために必要な作業」も本来は管理側が負担すべきもので、初期費用で請求するのは間違っています。

このような本来不要な項目を必須項目にして、料金を上乗せ請求している業者もいますので、注意しましょう。 もっと悪質なところだと大家さんは「礼金不要」としているのに「礼金1ヶ月分」に改ざんして自社の利益にしているところもあると聞きます。

このような悪質な不動産業者に捕まらないように、正しい知識を身につけることが何より重要です。

仲介手数料ゼロの場合の注意点のように書きましたが、その場合は特に注意なだけで、仲介手数料があっても同様のことをしている業者はあります。仲介手数料ゼロかどうかに関わらず賃貸物件を探す際は注意するようにしましょう。

4. 仲介手数料って値切れない? 値段交渉ってどうなの?

さて、最後にですが「仲介手数料を値切ることはできないか?」という疑問に答えてみましょう。 これについては「できることもあるけどおすすめしない」というのがわたしの回答です。

確かに仲介手数料の値引きは応じてくれることもあるようで、借り手がなかなか見つかっていない物件や、借り手が見つかりにくいオフシーズン(5月中旬〜8月上旬)には応じてくれやすいと言います。 どうしても安くしたい場合は交渉してみるのも1つの選択肢かも知れません。

少々荒っぽい技を使うのであれば、仲介手数料の原則は「家賃0.55ヶ月分」ですので、その点を強調して値下げ交渉を行えば応じてくれる不動産業者もあると聞きます。

しかしながら、最初に書いた通りわたしとしては仲介手数料の値引き交渉をするのはあまりおすすめしません。 なぜなら、仲介手数料は不動産業者の利益となる部分で、そこを突つかれるのは業者さんもいい気がしないからです。

引越し業界のように「値下げ交渉しながらお互いに納得のいく料金で合意する」ような料金の決め方が広く受け入れられている業界ならできる限り値下げ交渉した方が良いと思いますが、不動産業界はそうではありません。

そして不動産業者は「仲介」して仲介手数料を得るのが仕事なわけですから、不動産屋の立場を考えてみれば「ちゃんと仲介手数料を払ってくれるお客さん」は大事にしたいわけです。 むしろ相手の利益も考えてあげることで不動産屋を味方につけ、より良い物件探しの相談に乗ってもらうのがスマートなやり方というものです。

「予算はこのくらいで、そもそも仲介手数料ゼロの物件ってないですか?」
「鍵交換とか消毒費用がない物件ってないですか?」

といった感じで、値下げ交渉をするのではなくてそもそもがお得な物件を探してもらうようにしましょう!

また、もし値下げ交渉をするのなら狙うべきは「仲介手数料」よりも「礼金」です。 ここは仲介不動産にとって利益に関係ないところですので、可能なら協力してくれやすいでしょう。

◎ そもそも安くしようとするより優良な不動産会社を探すのが得策

そもそもの話、よりお得な物件を探すには1つの不動産会社だけで値段交渉をするより、信頼できる優良な不動産会社を探す方がよっぽど有益です。

仲介手数料無料で釣りつつ鍵交換や消毒費用などで小遣い稼ぎしようとしているような業者は選ばず、仲介手数料は普通にとっていたとしても、法律を遵守して誠実な仕事をしてくれる不動産会社を探してみてはいかがでしょうか?

5. まとめ

以上、今回は賃貸物件の「仲介手数料」をテーマに不動産会社の利益の仕組みなどまで解説しました。 今回のポイントを簡単にまとめておきましょう。

まとめ
  • 仲介手数料は仲介する不動産会社の「儲け」となる費用
  • 仲介手数料相場は家賃1.1ヶ月分。法律で「原則0.55ヶ月分で上限は1.1ヶ月分」と決められている
  • 仲介手数料ゼロの物件もそれ自体にデメリットはない
  • 仲介手数料ゼロであって「鍵交換費用」など不必要な項目で初期費用が高くなっていないか注意
  • 不動産業界で値下げ交渉は一般的でない。 値下げしてもらうことよりも信頼できる優良な不動産を見つけることが重要

それでは以上です! 今回は仲介手数料について解説しましたが、もし引越し初期費用を安くしたいのであれば、引越し業者の費用や家具家電の新調なども含めた初期費用全体を見て安くできるように考えることが重要です。以下の引越し初期費用についての記事もぜひ参考にしてもらえればと思います!

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2019年9月11日

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